路線便と呼ばれる運送会社とそれ以外の運送会社は何が違う?宅配便との関係もわかりやすく解説

路線便と呼ばれる運送会社と一般の運送会社は何が違うのでしょうか?宅配便との関係や、路線便の仕組み、チャーター便との違い、仕事内容までわかりやすく解説します。
はじめに
運送業界では、
- 「路線便の会社」
- 「チャーター便の会社」
- 「宅配便の会社」
など、さまざまな呼び方があります。
しかし、
「何が違うの?」
「宅配便も路線便なの?」
と疑問に思われる方も多いでしょう。
実は、どの会社も基本的には「一般貨物自動車運送事業」の許可を受けて営業しています。
違うのは「荷物の運び方」と「得意とする輸送」です。
この記事では、路線便と一般の運送会社、そして宅配便との関係をわかりやすく解説します。
路線便とは?
路線便とは、
決められたルート(路線)を、決められた時間に定期的に運行し、多くの荷主の荷物を一緒に運ぶ輸送方式です。
例えば、
- 大阪 → 名古屋
- 名古屋 → 東京
- 東京 → 仙台
という幹線ルートを、大型トラックが毎日決まったダイヤで運行しています。
荷物は1社だけではなく、
何十社・何百社もの荷主から集められた荷物を一緒に積んで運びます。
これを混載輸送といいます。
この「決まったルート・決まった時刻で定期運行する」という点が、路線便の最大の特徴であり、依頼があるたびに走るチャーター便との決定的な違いになります。
路線便の流れ
荷主から集荷
↓
営業所で仕分け
↓
幹線トラックで輸送(路線便)
↓
到着営業所で再仕分け
↓
配達担当が配送電車や高速バスのように、
決まった時間・決まったルートで運行するイメージです。
法律上は「特別積合せ貨物運送」
実は「路線便」という言葉は法律用語ではありません。
貨物自動車運送事業法では、このような輸送方式を「特別積合せ貨物運送」といいます。
特徴は、
- 不特定多数の荷主から荷物を預かる
- ターミナル(営業所)で仕分けする
- 運行系統・運行時刻を定めて定期的に運行する幹線便で輸送する
- 到着地で再仕分けして配達する
という点です。
特に「運行系統及び運行時刻を定めて定期的に行う」ことが法律上の核心であり、ここが「路線便=定期便」と呼ばれるゆえんです。
路線便と呼ばれる運送会社
代表的な路線便の会社には、
- 西濃運輸
- 福山通運
- トナミ運輸
- 第一貨物
などがあります。
これらの会社は、企業向けの小口貨物やパレット貨物を全国へ運ぶことを得意としています。
それ以外の運送会社とは?
一方、一般的な運送会社では、
荷主から依頼を受けてから輸送を行うことが多くあります。
例えば、
- 建築資材
- 精密機械
- 鋼材
- 食品
- 海上コンテナ
- 重機
などを運びます。
輸送方法は、
チャーター便(貸切輸送)
が中心です。
チャーター便とは?
チャーター便は、
トラック1台を貸し切って荷物を運ぶ輸送方法です。
例えば、
「大阪の工場から名古屋の工場へ機械を運ぶ」
という場合、
その荷物だけを積み込み、
目的地まで直接運びます。
他社の荷物を途中で積み込むことは基本的にありません。
タクシーのように、依頼があって初めて走るイメージです。
一般の混載便とは?
ここまで「路線便(特別積合せ)」と「チャーター便(貸切)」を見てきましたが、その中間にあたるのが一般の混載便です。
そもそも混載便とは、複数の荷主の荷物を1台のトラックに積み合わせて運ぶ便のことをいいます。実は、路線便もこの混載便の一種です。
ただし、両者には次のような違いがあります。
- 路線便……全国のターミナル網と定期ダイヤを持つ「特別積合せ」の形で行う混載
- 一般の混載便……決まったダイヤやターミナル網を持たず、同じ方面・同じ時期の荷物をその都度まとめて積み合わせる混載
一般の混載便は、一般貨物自動車運送事業を行う会社が、
- 同じ方向に向かう荷物をまとめる
- トラックの空きスペースを活用する
- 復路(帰り便)に別の荷物を積む
といった形で、1台のトラックを効率よく使って輸送する方法です。
一般の混載便のメリット・デメリット
メリット
- チャーター便より安い……1台分の運賃を複数の荷主で分け合うため、輸送コストを抑えられます。
- 路線便より柔軟……定期ダイヤに縛られず、荷物量や方面に応じて組むことができます。
デメリット
- 他社の荷物と一緒に積むため、集荷・配達のタイミングや到着日時は、チャーター便ほど自由になりません。
- 積み替えや他の荷物との接触があるため、こわれやすい荷物・特殊な荷物には不向きな場合があります。
一般の混載便の法律上の扱い
一般の混載便は、「特別積合せ貨物運送」には当たりません。
ターミナルでの仕分けや定期運行といった特積み特有の仕組みを持たず、あくまで通常の積み合わせ輸送だからです。
そのため、一般貨物自動車運送事業の許可の範囲で行うことができ、路線便(特別積合せ)のような追加の認可は必要ありません。
つまり、同じ「混載」でも、定期運行・ターミナル網という仕組みを備えたものが路線便(特別積合せ)、その仕組みを持たずに柔軟に積み合わせるものが一般の混載便、と整理できます。
宅配便はどこに入るの?
ここが最も誤解されやすいポイントです。
宅配便は、路線便(特別積合せ貨物運送)と同じ仕組みで運ばれる配送サービスです。
宅配便会社は、自社で全国の営業所・ターミナル・幹線輸送網を持っており、その特積みネットワークを使って荷物を運んでいます。
荷物は、
お客様が発送
↓
営業所で受付
↓
方面別に仕分け
↓
幹線輸送(路線便と同じ定期運行)
↓
配達営業所
↓
配達員がお届けという流れで運ばれます。
つまり、
長距離輸送の部分では、
路線便(特別積合せ貨物運送)と同じ仕組みが使われているのです。
宅配便会社も路線便の会社?
答えは「はい」です。
例えば、
- ヤマト運輸
- 佐川急便
は宅配便会社として知られていますが、全国に幹線輸送ネットワークを持つ路線運送事業者(特別積合せ貨物運送の事業者)でもあります。
一方、
- 西濃運輸
- 福山通運
などは、法人向け小口貨物を中心とした路線便を得意としています。
つまり、
宅配便会社は「個人向け配送」に強い路線便会社と考えると理解しやすいでしょう。
【ワンポイント】よく耳にする「宅急便」という用語。一般的によく使われる言葉なのですが、実はこの言葉はヤマト運輸さんの「宅配便」の商標登録名なんです。
路線便・一般の混載便・チャーター便の違い
| 項目 | 路線便(特別積合せ) | 一般の混載便 | チャーター便 |
|---|---|---|---|
| 荷物 | 複数の荷主の荷物 | 複数の荷主の荷物 | 一社・一件の荷物 |
| 積み方 | 混載(定期・ターミナル仕分け) | 混載(その都度積合せ) | 貸切輸送 |
| 運行 | 定期運行 | 依頼に応じて柔軟 | 依頼ごとに運行 |
| ネットワーク | 全国のターミナル網 | 特定の方面が中心 | 不要(直行) |
| 料金 | 運賃表・契約運賃 | 個別見積り(按分) | 個別見積り |
| 向いている荷物 | 全国向けの小口・パレット貨物 | 同方面の中ロット貨物 | 重量物・大型貨物・長尺物 |
| 法律上の扱い | 特別積合せ(認可が必要) | 一般貨物の範囲 | 一般貨物の範囲 |
許可は違うの?
基本となる許可は同じです。
路線便もチャーター便も、どちらも
一般貨物自動車運送事業許可
を取得して営業しています。
ただし、路線便(特別積合せ貨物運送)を行う場合は、一般貨物自動車運送事業の許可申請の中で、その旨を事業計画に記載して認可を受ける必要があります。
さらに、
- 貨物を仕分けするための施設(荷扱所・ターミナル)
- 運行系統・運行時刻を定めた定期運行の体制
- 拠点間をつなぐ幹線輸送網
など、特積み特有の運営体制や要件が上乗せで求められます。
つまり、「許可の種類そのものは同じだが、特別積合せを行うには事業計画上の扱いと固有の要件が加わる」と理解しておくとよいでしょう。
まとめ
運送会社にはさまざまな種類がありますが、違いは「どのように荷物を運ぶか」にあります。
- 路線便は、多くの荷主の荷物を積み合わせ、決められたルートを定期的に運ぶ輸送方式(特別積合せ貨物運送)です。
- 一般の混載便は、定期ダイヤやターミナル網を持たず、同じ方面の荷物をその都度積み合わせて運ぶ、路線便とチャーター便の中間的な輸送方法です。
- チャーター便は、トラック1台を貸し切り、特定の荷物だけを目的地まで直接運ぶ輸送方法です。
- 宅配便は、路線便と同じ仕組み(特別積合せ貨物運送)を活用して、個人や企業の小口荷物を届ける配送サービスです。
つまり、宅配便は路線便と同じ仕組みを使ったサービスであり、路線便とチャーター便は、同じ一般貨物自動車運送事業の中でも輸送方法が異なるということです。
行政書士からのワンポイント
運送業の新規許可を検討する際は、「一般貨物自動車運送事業許可」を取得したうえで、自社が路線便型(特別積合せ)を目指すのか、チャーター便・定期便型を目指すのかを明確にすることが重要です。
特に路線便(特別積合せ貨物運送)は、事業計画への記載と認可に加え、全国的な営業所やターミナル、幹線輸送網など大規模な物流インフラが必要になるため、中小規模の新規事業者はチャーター便や地域密着型の定期便からスタートするケースが一般的です。これらの違いを理解することで、自社に適した事業計画を立てやすくなります。