「後見制度」の利用状況について③~最高裁事務総局資料から
つい先日、とある士業が被後見人の方の財産を不正に使用して逮捕されたというニュースが流れました。
後見人が、預かっている財産を不正に使用しているニュースは、残念ながら毎年発生しております。
今日は「後見人等による不正事例」データーからこの問題を見ていきます。
令和元年から令和6年までの不正事例の報告件数ですが、平均して毎年約190件弱。被害額は6年間平均で約7億8千万円。
これを「士業」を含めた「専門職」で限ってみると、この6年間で平均約25件。被害額が6年間平均約1億4千万円。

令和に入ってから、平成に比べて件数・被害額ともかなり減少してきたのですが、それでもこれだけ発生しているのは残念なことです。ましてやあってはならい「専門職」による不正が年平均25件も発生しているのは許されるべきではないことかと思います。
ちなみに令和5年末の成年後見制度を利用されている総数が249,484人。そのうち後見人が親族の方が約2割。専門職の後見人が約8割。その年の不正事例発生報告件数が全体で184件。うち専門職の件数が29件というデータでした。
後見人に選任されているそのほとんどの方は、データーからもわかるようにきちんと誠実に業務を遂行されているのですが、やはり1件でもこのような信頼を損ねる不正事件が起こってしまうと世論の風潮はすぐに悪くなってしまい、制度そのものの善悪が問われてしまいがち。こうしたことにならないよう、特に「専門職」は真摯に取り組まなくてはいけないと思います。
認知症等判断能力が低下される方が増加する中で、これからもっと後見制度の利用が増えると予測されていますが、残念な事件で制度そのものが廃止等にならないよう、小職も含め今後さらに誠実に取り組んでまいります。
皆様のお困りごとは、それぞれの分野で皆様のお役に立てるよう「士業」が活躍しております。
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